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お役立ち情報

「引用」とは

「引用」とは

「引用であれば許諾不要である」とよく耳にしますが、厳密に言えば「著作権法上の引用であれば」です。
「引用」という言葉が幅広い用途で使われているため、一部で誤解が見られることもありますが、少し整理したいと思います。

「引用」とは

一般に、第三者の情報(文章や図表など)を利用する事を「引用」と言われますが、著作権法上では「引用」とは以下のように書かれています。

 公表された著作物は、引用して利用することができる。この場合において、その引用は、公正な慣行に合致するものであり、かつ、報道、批評、研究その他の引用の目的上正当な範囲内で行なわれるものでなければならない(著作権法第32条)

また、引用の際に翻訳は認められるがそれ以外の翻案や変形は認められないこと(47条の6)、出所の明示を義務付けています(48条)。したがいまして、これらの要件に当てはまる限り、著作権者に断ることなく利用しても構わない、というのが著作権法上の「引用」です。著作権法上合法な「引用」を一般的な言葉の使い方と区別するために“適法引用“と呼ぶこともあります。

広告資材と「引用」

著作権法の引用規定が要件として挙げている「公正な慣行」と「正当な範囲内」については、これまでの判例から「著作物全体の中で、引用部分は主従関係の従たる扱い」「引用箇所の明瞭区分性」「必要最小限」などが言われていますが、現場でこれを判定することは難しいと思います。「報道、批評、研究その他の引用の目的」と書かれた部分は、厳密に解釈する意見と、単なる例示にすぎないという意見があり、どのような目的を引用の要件とするのかは曖昧です。近年では引用の目的、両著作物の性質、分量等を総合考慮して判断する判例も増えてきており議論が続いているところです。
とはいえ、製品情報パンフレットのような明らかな広告が「報道、批評、研究その他の目的」に同列で列挙されうると考えるのは、抵抗があると思います。著者にとっては、自分の知らないところで特定の製薬企業が研究業績を製品に関する情報として使っていたというのは、やはり違和感はあるでしょう。

実際には、企業での利用、特に広告宣伝目的での利用においては、「引用規定をあてにせず、許可を取って利用する」というのが原則であろうと考えます。

まとめ

  • 著作権法上の「引用」であれば許諾不要
  • ただし、「引用」には要件がある
  • 企業での利用、特に広告宣伝目的での利用は、許諾を取ることが原則

引用規定を実地に持ち込んで判定するのは難しいと思います。
特に企業が他者の著作物を利用する場合は、許諾を取っておくことが無難なケースも少なくありません。


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