|
大阪地裁 平成 19年 (ワ) 7877号 著作権侵害差止等請求事件
大阪地裁の判例ですが、マンションの広告に使ったイラストが別の作者のものを無断で翻案したものであるとして、著作権侵害が争わ れた裁判です。
結論としては裁判所は著作権侵害を認めなかったのですが、その判決文の末尾に以下のような一文が出てきます。
なお,本件訴訟の審理の経緯にかんがみ,付言する。上記のとおり,被告らの行為は,原告各イラストの著作権又は著作者人格権を侵害するものではなく,被告ら が原告に対しこれによる法的責任を負うものではない。しかし,被告らがイラスト作成を依頼したAにおいて原告各イラストに依拠し,これを参考にして被告各 イラストを作成したことは前示のとおりであり,被告各イラストが,一見すると原告各イラストによく似ているところがあることは否定できない。 原告 において,被告各イラストを見て原告各イラストを模倣されたと感じたことは無理もないところであるし,被告らにおいてもこの点を問題視していたことは,原 告からの指摘後直ちにマンション読本の配布を取りやめるとともに,全ての在庫を調査して回収し,廃棄していることからも明らかである。したがって,被告ら は原告に対し,法的責任はともかく,道義上の責任を負うことは否定できない。 裁判所は翻案については、「本質的な表現 上の特徴を感得することができるものとはいえない」として従来の最高裁の規準を出して著作権侵害を退けているものの、判決文の中で「一見すると原告各イラ ストによく似ているところがあることは否定できない」とも書いており、「一見似ていること」と「本質的特徴が感得されること」は異なるという説明をしてい ます。確かにイコールではないでしょうが、少しわかりにくいようにも思います。 さらにまた「道義的責任」に言及しています。これについては、私自 身も「法的にどうかというよりも、著者や先行研究に対するリスペクトが大事」とエチケット、マナーの問題に触れてきましたので、無用なトラブルを避けるに は、この点も重要であると改めて思います。
※判例の解釈・その他について弊社は一切の責任を負うものではありません。その後の類似例が同じ判断となる保証もありません。あくまで参考としてご 紹介させていただくものです。留意の上お読みください。
|