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Q 著作権とは?
A

著作物の創作にともなって、自動的に著者に与えられる権利です。

その権利の内容は著作権法の21条~29条に列挙されていますが、簡単に言えば、著作物を利用する権利は著作権者が専有する、ということであって、第三者が無断で利用することはできない、というのが原則です。
利用する側が注意すべきことは、あくまで著作権者が許諾するかどうか、ということであって、利用する権利があるとか、お金を払えば使えるというものではないということです。

 

一方、著作権者の側も、著作権法の趣旨、「文化的所産の公正な利用に留意しつつ、著作者等の権利の保護を図り、もつて文化の発展に寄与する」に沿って著作物の利用希望に対処すべきであろうと思います。

Q 著作物とはなんですか?
A

著作権法では2条に「思想又は感情を創作的に表現したものであって、文芸、学術、美術又は音楽の範囲に属するもの」という定義が定められています。

ここでは創作性というのは、個性といった程度の意味であって、芸術性とか独創性などを求めているわけではありません。従って子供の書く作文や絵から文豪の書く小説にいたるまで、多くが著作物であり、従って、全く「著作物」を持たない人は乳幼児を除けばほとんどいないはずです。

著作物の種類も10条に例示されていますが、学術論文でいえば、論文はもちろん、その一部の文章や使われている図表、写真、イラスト、チャートなどもそれぞれを著作物ということができる可能性があります。

Q 著作者と著作権者は違うのですか?
A

著作物を創作した人が著作者(多くの場合、「著者」です)ですが、著作権の一部の権利は譲渡可能です。そのため、著作権が譲渡された人が著作権者になることがあります。

欧米の学術出版社では雑誌への論文投稿受け付けの際に、著作権を出版社に譲渡する契約にサインすることを求められるケースがほとんどです。そのため、海外雑誌に関しては、多くの場合出版社に著作権が移動しています。

ただし、著作権の中の著作者人格権とよばれる権利(公表権、氏名表示権、同一性保持権)は譲渡できないもの、とされているので、これらの権利に触れる場合は、著作者から許諾を得る必要があります。

Q 他人の著作物を使う場合、必ず許諾が必要ですか?
A

他人の著作物を利用するということは、他人の財産を使うということであって、当然勝手におこなうことはできません。これが基本原則です。

論文として公けになっているからといって、それを勝手に使ってよい、ということにはなりません。あるいは公知を目的とするものであっても、勝手に使ってよいかどうか、とは別の問題です。
学術研究の分野では、「引用」という慣行がありますし、そもそも人間の知識は先人の積み重ねの上に成り立っているものです。著作権法でも第32条に「引用」 の規定を置いています。そういうところから、自由に使えるもの、という誤解が生まれやすいともいえます。

しかし、特にプロモーション資材などで使 う場合には、他人の著作物を使って自社の製品のアピールをしようということですから、学術研究を目的に書かれた論文であれば、著者の意図とは異なるため、引用の規定は当てはまらないと思われます。
一方、個人が研究や批評目的で利用する場合は引用規定に当てはまるケースが多く、許諾は不要です。
一般的には企業 活動の中で利用する場合は、内容がいかに学術的であれ、商用目的と考えられますので、著作(権)者からの許諾が必要になります。

もちろん、例外的に不要なケースもありますし、そもそも著作物でなければ著作権法の保護対象ではありません。詳細はここの事例で判断するしかありません。「著作権判例・事例紹介」なども参考にしてください。

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ランチョンセミナーでの図表利用について

学会ランチョンセミナーなど、企業がスポンサーのセミナーで先生が図表を利用する場合の許諾申請の手続きのご依頼です。

 

この場合、先生が自身で発表されるものは「引用」の適用になるのではないか、との考えられます。ある出版社におたずねしたところ、先生が発表の中で 利用するのは学術利用=適法な引用の要件を満たしていれば許諾不要であるとのご返事を得ました。またその発表に付随して会場で配布するハンドアウト 程度であればそれも許諾は不要であると。ただし、その記録を企業がリーフレットなどにして印刷する場合は、別途許諾が必要になる、という解釈でした。です からのちにランチョンセミナー記録集という、配布物を作成される場合には、その中で利用されている図表などについては、無断利用にならないかのチェッ クが必要になってきます。ご依頼者にそのようにお伝えし、ご依頼により必要な許諾書類を作成して申請をいたしました。


あくまで一つの出版社の解釈であり、他の出版社にはそれぞれお考えがあると思いますが、参考にしてください。

 
転載と道義的責任

大阪地裁 平成 19年 (ワ) 7877号 著作権侵害差止等請求事件

大阪地裁の判例ですが、マンションの広告に使ったイラストが別の作者のものを無断で翻案したものであるとして、著作権侵害が争わ れた裁判です。

結論としては裁判所は著作権侵害を認めなかったのですが、その判決文の末尾に以下のような一文が出てきます。

なお,本件訴訟の審理の経緯にかんがみ,付言する。上記のとおり,被告らの行為は,原告各イラストの著作権又は著作者人格権を侵害するものではなく,被告ら が原告に対しこれによる法的責任を負うものではない。しかし,被告らがイラスト作成を依頼したAにおいて原告各イラストに依拠し,これを参考にして被告各 イラストを作成したことは前示のとおりであり,被告各イラストが,一見すると原告各イラストによく似ているところがあることは否定できない。
原告 において,被告各イラストを見て原告各イラストを模倣されたと感じたことは無理もないところであるし,被告らにおいてもこの点を問題視していたことは,原 告からの指摘後直ちにマンション読本の配布を取りやめるとともに,全ての在庫を調査して回収し,廃棄していることからも明らかである。したがって,被告ら は原告に対し,法的責任はともかく,道義上の責任を負うことは否定できない。
裁判所は翻案については、「本質的な表現 上の特徴を感得することができるものとはいえない」として従来の最高裁の規準を出して著作権侵害を退けているものの、判決文の中で「一見すると原告各イラ ストによく似ているところがあることは否定できない」とも書いており、「一見似ていること」と「本質的特徴が感得されること」は異なるという説明をしてい ます。確かにイコールではないでしょうが、少しわかりにくいようにも思います。
さらにまた「道義的責任」に言及しています。これについては、私自 身も「法的にどうかというよりも、著者や先行研究に対するリスペクトが大事」とエチケット、マナーの問題に触れてきましたので、無用なトラブルを避けるに は、この点も重要であると改めて思います。

※判例の解釈・その他について弊社は一切の責任を負うものではありません。その後の類似例が同じ判断となる保証もありません。あくまで参考としてご 紹介させていただくものです。留意の上お読みください。

 
In press論文の二次利用

まだ論文は出ていないのだけれど、許諾は取れますか?というご依頼がきました。

 

最近、In press段階のものを利用したいというケースが増えています。

まず、オンラインジャーナルの一般化により、In pressの様態も変わっていることを把握しておく必要があります。

印 刷物しかなかった時代なら文字通り、In press(印刷中)、だったのですが、現在は海外誌の多くで電子版が印刷版よりも早く公開されます。しかも、査 読完了だが、まだ掲載号などが決まっていない段階のものもあれば、単純に本誌が発行される前に先に載っているだけの場合もあります。

 

どの 段階から二次利用を許すか、というのは著作権者のポリシーですが、実際の事例では海外誌の多くは、サイトに公開されていれば二次利用の許諾は取れていま す。また一 般的には論文がアクセプトされた時点で著作権を出版社に譲渡していると思われますが、公開するかどうかは「著作者人格権」として著者の権利です。
従っ て、公開されていないIn pressは出版社(著作権者)および著者の双方の許諾が必要であり、公開されている場合は、出版社(著作権者)の許諾があればOKと言うケースがほとん どであると言うことになります。ただし公開されていないものについては二重投稿にあたる危険があり、もし著者の先生が了解されたとしても掲載誌のルールに 抵触する危険があり、十分注意が必要です。

 

そのような事例をご紹介し、この場合は、既にサイトに公開されていたため、ご依頼によって出版社に問合せ、許諾をえて利用することができました。

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