既存の資材を別の媒体に作り直すことになりました。転載許諾は何を確認すればよいですか?

パンフレットをWebサイトや動画に作り直すなど、既存の資材を別の媒体向けに作り直す場面は少なくありません。このような場合、確認すべきポイントは大きく2点あります。第一に、元の転載許諾の範囲内で利用できるかどうか。第二に、作り直しの過程で図表などに変更が加えられていないかどうかです。別媒体への転載許諾では、この2つの問題が同時に生じやすいという特徴があります。今回は、それぞれの考え方を整理します。
作り直しでは「許諾の範囲」と「改変の有無」の2つを確認する
転載許諾は、第三者の図表などを「どの資材に・どのような形で使うか」を権利者に申告し、その範囲で利用の承諾を得る手続きです。資材を別の媒体向けに作り直すと、使う場所(媒体)と、素材そのものの形の両方が動きます。そのため、元の許諾の範囲に収まっているかという点と、素材に手が加わっていないかという点の、2点を確認することになります。
作り直しの手段はさまざまで、近年は生成AIを使う例も見られます。ただ、どのような手段で作り直したとしても、この2点を確認することは変わりません。
①元の許諾の範囲に収まっているかを確認する
医薬品広告の実務では、転載許諾は基本的にOne Time(その利用限りの許諾)です。著作権法にも、許諾された利用方法および条件の範囲内で利用できる旨が定められています(第63条2項)。前の資材で取得した許諾は、あくまでその資材・その媒体・その部数を前提としたものです。 紙の資材をWebサイトに、スライドを動画に、といったように媒体が変われば、元の許諾の範囲を超えることが多くなります。まずは前回の許諾書や申請時の記録から、媒体・部数・期間・地域といった条件を確認し、新しい資材がその範囲に収まるかを見るのが出発点です。範囲を超えるのであれば、原則として改めて許諾を取得することになります。
②図表などに手が加わっていないかを確認する
もう1つ確認したいのが、転載した図表などの素材そのものに手が加わるかどうかです。別の媒体に合わせる過程で、元の素材に変更を加えることもあります。新たに改変を加えるのであれば、著作権法上の翻案(第27条)にあたり得るため、申請の際に「改変して使う」という利用形態で申告し、その内容で許諾を取得することになります。 改変を認めるかどうかは権利者の判断によるところで、認められない場合もあります。前の資材で改変の許諾を取得していたとしても、新たな媒体への転載申請において、同じ改変が認められるとは限りません。
また実務においては、前の資材と同じ素材を新しい媒体で申請すると、権利者から、新たな改変を加えていないかと尋ねられることがあります。これは、権利者の側にも前回の許諾の記録が残っているためです。あらかじめ前の資材との違いを整理し、申請の段階で伝えておくと、手続きがスムーズに進みます。
まとめ
- 別の媒体に作り直す際は、改めて許諾が必要になるか要確認
- ポイントは「許諾の範囲」と「改変の有無」の2点
- 媒体が変われば、元の許諾の範囲を超えることが多い
- 前に認められた改変が、新しい媒体でも認められるとは限らない
- 改訂で申請先や許諾の条件が変わることもある
当社では、既存資材の別媒体展開に伴う転載許諾申請の代行も承っております。お気軽にお問い合わせください。
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