非営利団体が制作物に図表を掲載する場合、許諾は必要ですか?

非営利活動において、他人の著作物を使用する際、「社会のためになる活動だから、許諾は不要では?」とお考えになる方は少なくありません。しかし、許諾の要否は、営利・非営利という区分だけで決まるわけではありません。思わぬトラブルを避けるためにも、転載許諾の基本的な考え方をあらためて整理します。
「非営利だから許諾不要」とは言い切れない理由
確かに著作権法には、「非営利・無料・無報酬」の要件を満たせば、許諾なしで演奏や上映ができるという規定(第38条)が存在します。しかし、こうした規定は、演奏や上演などの限られた場面を対象としたものであり、図表を制作物に複製・転載するケースには当てはまりません。
複製や転載における許諾の要否は、「その図表がそもそも著作物にあたるか」「引用などの例外規定(権利制限規定)の条件を満たしているか」といった観点から、個別に判断する必要があります。
「患者さんや一般市民のための制作物だから」というお気持ちはもっともですが、非営利であることだけを根拠に許諾の手続きを省いてしまうと、思わぬトラブルを招きかねません。
許諾が不要になる場合もある
一方で、例外的に許諾なしで利用できるケースもあります。
著作権法上では、保護期間が終了している著作物や、法令・告示など権利の対象外となる著作物(第13条)、「引用」の要件を満たす場合(第32条)などがその代表例です。また、単純な数値データや事実の羅列など、そもそも著作物に該当しないものであれば、許諾を得る必要はありません。
法律の規定とは別に、権利者自身が事前に利用ルールを公開している場合もあります。クリエイティブ・コモンズ・ライセンス(CCライセンス)はその代表例で、定められた条件(クレジット表記など)を満たせば、個別の許諾なしに利用が可能です。
ただし、これらの例外にあたるかどうかの判断は、非常に慎重に行う必要があります。「引用だから大丈夫」「シンプルなグラフだから著作物ではない」と自己判断した結果、権利者とのトラブルに発展するケースも少なくありません。特にWeb配信を伴う制作物は不特定多数の目に触れるため、権利者側も厳格に確認している傾向があります。
法律上問題がなくても許諾を取る意味
著作権法上は許諾が不要なケースであっても、実務ではあえて許諾申請を行う場面があります。その背景には、法律のルールだけでは割り切れない、学術の世界ならではの事情が存在します。
学術分野においては、先人の業績を尊重し、利用の際には事前に断りを入れることが望ましいとされています。多大な労力をかけて生み出された研究成果を、いくら法律上問題がないからといって、無断で使われることに著者や出版社が難色を示すケースは少なくありません。同じ学術コミュニティで活動する者同士として、こうした礼儀を重んじることには大きな意味があります。
実際に、学術分野では図表の転載に際して許諾を得ることが「国際的な慣行」となっており、当社でも「法律上は不要かもしれないが、念のため許諾を取っておきたい」とご相談いただく非営利団体のお客様が年々増えています。
非営利目的であれば許諾料が抑えられる場合がある
また、実際に許諾を取得する場合でも、非営利目的であれば費用(許諾料)を抑えられる傾向があります。国内外の多くの出版社や学会では、学術・教育・非営利目的の利用に対して、営利目的よりも低い料金を設定していたり、場合によっては無償で許諾を出しているケースがあるからです。
そのため、「申請してみたら費用がかからなかった」という結果になることも珍しくありません。無断で掲載して後からトラブルになるリスクを考えれば、まずは事前に確認・申請してみることをおすすめします。
まとめ
- 複製・転載では、営利か非営利かだけで許諾の要否は決まらない
- 許諾不要なケースもあるが、自己判断は慎重に
- 法律上問題がなくても、学術慣習として許諾を取ることが望ましい場面もある
- 非営利目的の場合、許諾料が抑えられることがある
当社では非営利団体のお客様からの転載許諾申請代行も承っております。お気軽にお問い合わせください。
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