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医学論文中のグラフ、表などは著作物ですか? 利用許諾は取るべきでしょうか?

医学論文中のグラフ、表などは著作物ですか? 利用許諾は取るべきでしょうか?

著作権法上の「著作物」でなければ、著作権で保護はされません。
では、論文中のグラフや表などは著作物なのでしょうか。利用許諾を取るべきでしょうか。
主に医学分野での二次利用の観点からお伝えします。

簡単な表・グラフ等は著作権の対象ではない?

著作権法では、著作物を「思想又は感情を創作的に表現したものであって、文芸、学術、美術又は音楽の範囲に属するものをいう」と定義しています。そのため、データや結果を円グラフや棒グラフなど、学術論文で通常見られる形式でまとめられたものは創作的に表現されたとは言えず、著作権法上の「著作物」と認められることは難しいかもしれません。しかし、実際の資材制作の現場では、様々な種類の図表を目にします。目の前にあるグラフ・表が創作的かどうか? 著作物かどうか? を正確かつ一貫して判定し続けることは、なかなか難しいと思います。
この「著作物かどうか?」というテーマは、裁判においても争いになることが多く、法律のプロでさえも判断が分かれると聞きます。したがって、医薬品広告における二次利用の場面では、それが著作物かどうかという点は踏み込み過ぎず、「他人の物を二次利用する際は許諾を取る」という大原則から出発して、慎重に取り扱うことが重要であると思います。

図表は論文のエッセンス

「著作権が生じない」=「許諾を取る必要はない」と思われるかもしれませんが、「トラブルを少なくするための許諾処理」という観点では、それが必ずしも正解とは限りません。多大な労力をかけて得られた自身の成果を、知らぬ間にタダ乗りされることに怒りを覚えることは想像に容易いでしょう。特に自然科学論文における図表は、論文のエッセンスというべき特別なものであり、著者・出版社もその取扱いには非常に敏感なように思います。
ありふれた図表であっても、そのままコピーされているような場合は許諾を取るべきであるという説もありますし、海外ではデータの集積であっても、その労力に対して保護されるべきだという説もあります。「シンプルなグラフだから」という理由だけで、断りなしに利用するのはトラブルに発展する恐れがあります。

学術情報利用のマナー

先人の業績に敬意を払い、利用の断りを入れるのが学術情報利用の慣習であり、マナーでもあります。
米国で発行されている有名なスタイルガイド『Chicago Manual of Style』や、医学系の『AMA Manual of Style』でも、他人の図や表を使う際には許諾を取るよう書かれています(ちなみに、図や表の著作権判断は難しいとも書かれています)。

まとめ

  • 著作物かどうかの判定は難しい
  • 自然科学論文における図表は、論文のエッセンス
  • 学術情報利用のマナー

特に医薬品広告における二次利用のシーンでは、著作権法だけに囚われず、著者や出版社への配慮、それを取り巻くコミュニティの慣習に倣うという観点でも考えることが重要です。

掲載内容はあくまで当社の見解です。個々の事案についての判断の参考にお留めください。内容についても、執筆当時の状況におけるものであることをご了解ください。万一、ブログの内容の利用により何らかの損害が発生しても、当社は一切の責任を負いません。

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