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学術コンテンツ・著作権・転載許諾処理・二次利用申請

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厚生労働省などの公的機関の資料を転載利用する場合に許諾は必要ですか?

厚生労働省などの公的機関の資料を転載利用する場合に許諾は必要ですか?

公的機関が公開している資料とはいえ、医薬プロモーションに自由に利用できるとは限りません。
資料によっては許諾処理が必要です。

公的機関の資料も著作物?

時々、「国や市町村が作成・公開する資料は著作権フリーである」とおっしゃる方がいますが、作成者が誰であっても著作物には著作権が発生するのが大原則です。「公の機関だから」「公開されているから」「税金が使われているから」といって、著作権フリーではありません。著作権が発生する以上、その利用にあたっては注意が必要です。

権利の目的とならない著作物

しかし一方で、公的機関が作成する文書の一部において、著作権法上、権利の目的とならないものがあります。具体的には以下の通りです。

第十三条 次の各号のいずれかに該当する著作物は、この章の規定による権利の目的となることができない。
一 憲法その他の法令
二 国若しくは地方公共団体の機関、独立行政法人(独立行政法人通則法(平成十一年法律第百三号)第二条第一項に規定する独立行政法人をいう。以下同じ。)又は地方独立行政法人(地方独立行政法人法(平成十五年法律第百十八号)第二条第一項に規定する地方独立行政法人をいう。以下同じ。)が発する告示、訓令、通達その他これらに類するもの
三 裁判所の判決、決定、命令及び審判並びに行政庁の裁決及び決定で裁判に準ずる手続により行われるもの
四 前三号に掲げるものの翻訳物及び編集物で、国若しくは地方公共団体の機関、独立行政法人又は地方独立行政法人が作成するもの

これらの資料は著作権法上、許諾不要で利用できます。

それ以外の資料では?

医薬プロモーションにおいては、上記で挙げた文書以外にも、白書や人口動態統計、研究班の報告書などを利用・参照したいケースも多々あるかと思います。その場合はどうすればよいのでしょう?
著作権法では、第32条1項「公表された著作物の引⽤ 」あるいは2項「国や地方公共団体の広報資料の転載」など、一定要件をクリアすれば許諾不要で適法に利用できるというルールがあります。しかし、プロモーション資材への転載利用に対し、これらのルールを当てはめることが難しい場面も多くあり、実際には「権利処理が必要」という原則に行きつくことになります。

利用規約を確認しましょう

「権利処理が必要」といっても、権利者自らが自由に利用して構わないと公言している場合は別です。
例えば、厚生労働省HPの利用規約では、
「当ホームページで公開している情報(以下「コンテンツ」といいます。)は、どなたでも以下の1)~7) に従って、複製、公衆送信、翻訳・変形等の翻案等、自由に利用できます。商用利用も可能です。」
と述べられています(2023/09/13確認)。

したがって、規約に準じた利用形態であるならば、自由に転載することが可能です。ただし、転載しようとする対象が厚生労働省の著作物ではない場合(例:第三者の名前で発行されている資料・イラスト・写真・図表・ロゴなど)、その第三者への確認が別途必要になる点は注意です。例えば、研究報告書から図表を転載したい場合、その報告者への確認を別途行うことになるでしょう。

まとめ

  • 公的機関の資料=著作権フリーという訳ではない。
  • 各機関の規約に、資料の二次利用について定めている場合がある。

「公的機関の資料だから全て許諾不要で使える」と考えるのは、いささか乱暴です。
まずはその機関の利用規約・ルールを確認してみましょう。ただし、利用したい著作物が、その公的機関とは別の第三者が作成・権利を保有している場合、その第三者の権利処理を別途行わなければならない場合があるため、注意が必要です。

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