自社の論文から図表を使うにも、許諾が必要ですか?
自社が関わった論文なのだから、当然自由に使えるだろう― そう思われるのは自然なことです。しかし、実務...
小野寺 舞
記事公開日: 2023/09/15 最終更新日:2026/05/28
公的機関が公開している資料とはいえ、医薬プロモーションに自由に利用できるとは限りません。
資料によっては許諾処理が必要です。
「国や市町村が作成する資料には著作権がない」と思っている方もいますが、これは誤りです。著作権は、作成者が誰であるかに関係なく、著作物が生まれた時点で自動的に発生します。「公の機関が作ったから」「公開されているから」「税金で作られているから」という理由だけで、自由に使えるわけではありません。
ただし、著作権法第13条では、一部の公的文書について「権利の目的とならない著作物」として、許諾なしに利用できると定めています。具体的には以下のものが該当します。
これらに該当する資料であれば、許諾なしに転載・利用することが可能です。
上記以外の資料、例えば白書や人口動態統計、研究班の報告書などを医薬プロモーションで活用したい場合はどうすべきでしょうか。 著作権法では、第32条1項「公表された著作物の引⽤ 」あるいは2項「国や地方公共団体の広報資料の転載」など、一定要件をクリアすれば許諾不要で適法に利用できるというルールがあります。しかし、医薬品のプロモーションを目的とする資材では、これらのルールを適用するには不透明な点も多く、リスクを最小限に抑えるために「権利処理を行う」という判断に至ることが多々あります。
ただし、権利者が公式に自由利用を認めている場合は例外です。例えば、厚生労働省のウェブサイトでは、規約に従う限り、商用利用を含めた複製や改変が広く許可されています。したがって、この規約に準ずる形であれば、事前の申請なく転載が可能です。もっとも、資料内に含まれる第三者の著作物(外部委託のイラスト、写真、他機関のロゴ等)については、厚労省の規約が及ばないため、別途その権利者への確認が必須となる点に注意が必要です。 また、研究班の報告書に掲載されている図表なども、著作権が厚労省ではなく、その研究者や所属機関などの「第三者」に帰属しているケースがあります。そのため、形式上は厚労省のサイト内にあっても、執筆者や研究代表者から個別に利用許諾を得ておくと安心です。
公的機関の資料だから許諾不要で利用できるとは限りません。まずはその機関の利用規約・ルールを確認してみましょう。規約上、自由に使えると書いてあっても、公的機関とは別の第三者が権利を保有している著作物であれば、権利処理を別途行わなければならないケースもあります。注意しましょう。
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