スケールや質問票を資材で紹介したいのですが、許諾はどう取ればよいですか?

カテゴリ
転載許諾Q&A 
タグ
許諾申請  転載許諾実務  許諾条件  質問票  評価尺度 

小野寺 舞

B!

症状の評価に用いられるスケール(評価尺度)や質問票を資材で紹介したい、というご相談をいただきます。許諾申請の進め方は、論文の図表を転載する場合とは大きく異なります。申請先は出版社や学会とは限らず、その申請先によって手続きの進め方も異なります。また、どの場面で使用するのかは特に重視されるポイントであり、利用条件が細かく設定されることもあります。今回は、スケール・質問票の許諾で押さえておきたいポイントを整理します。

申請先は「出版社」「学会」とは限らない

論文に掲載された図表であれば、申請先は出版社や学会であることが大半です。しかし、スケールや質問票の場合は事情が異なります。開発者個人、大学、病院、あるいはスケールや質問票を扱う管理団体が申請先になることがあり、まずはどこに申請するのかを確かめることが、許諾申請の出発点になります。
手がかりは、スケールの周辺にあります。論文などに掲載されている場合、スケールの直下や近くに著作権表示(コピーライト表記)が置かれていることがあり、そこから申請先をたどれることがあります。表示が見当たらない場合は、スケール名から権利の所在を調べていくことになります。
COA(Clinical Outcome Assessment)と呼ばれる領域では、Mapi Research Trust のようにスケールや質問票の情報を集めたデータベースがあり、手がかりとして使えます。 ここで注意しておきたいのが、情報が掲載されていることと、その団体から許諾を得られることは別であるという点です。Mapi Research Trust の場合、データベースに収載されているスケールの数と、同団体が申請窓口となっているスケールの数は異なります。
また、海外で開発されたスケールに日本語版が存在する場合、原版と日本語版で申請先が分かれていることがあります。どちらにどのように申請するかは、スケールごとの権利関係や権利の所在によって異なります。

申請先によって、手続きの進め方は変わる

申請先が管理団体の場合、申請の仕組みが整備されていることが多く、アカウント登録など、団体が定めた手続きに沿って進めることになります。ただし、許諾の可否を判断するのは審査であり、確認事項が生じた場合には、追加のやり取りが発生することもあります。申請手続きの入口が整っていても、回答までに要する期間については、実際に申請してみなければわからない部分があります。
一方、開発者個人が許諾先となる場合は、回答までの期間をさらに予測しにくくなります。また、個人への申請だからといって無償で利用できるとは限りません。利用条件として、許諾料の支払いが必要となる場合もあります。

「どの場面で使うか」をはっきり伝える

スケールや質問票は、臨床現場や臨床試験、学術研究など、さまざまな場面で利用されています。そこに医薬品の資材への掲載が加わると、同じ「利用」という言葉であっても、権利者から見た意味合いや許諾の前提は大きく異なります。そのため、申請の段階で「どのような目的で、どの媒体に、どのように使用するのか」を明確に伝えることが重要です。ここが曖昧なままだと、権利者が別の利用場面を想定したまま許諾してしまい、実際の利用が許諾範囲を超えてしまう可能性があります。 医薬品の資材に掲載する場合は、その用途を明確に伝え、権利者との認識を一致させることが欠かせません。特に海外の権利者へ申請する場合には、資材の位置づけや使用目的について、追加の説明を求められることもあります。

利用条件が示されることがある

スケールや質問票の許諾では、利用にあたっての条件が細かく示されることがあります。たとえば、権利者が公認している日本語版を使うよう求められる、権利者から提供される版をそのまま使うよう求められる、といったケースです。手元にある訳文や、こちらで整えたレイアウトをそのまま使えるとは限らない、という点は見込んでおきたいところです。
翻訳して使うこと自体が認められる場合でも、訳文の確認を経てから許諾となることがあります。海外文献の図表であれば、「翻訳して使う」という形で許諾を得たうえで、訳文はこちらで用意するのが通常です。スケールでは、その訳が適切かどうかまで含めて権利者が確認する、という進み方になることがあります。設問の文言や並びが評価の妥当性に関わるためで、改変を認めていないケースも多くあります。
また、許諾書のやり取りだけでなく、権利者との間で利用許諾契約を結ぶことが条件になる場合もあります。契約の内容は権利者によって異なり、締結にあたっては法務部門での確認が必要になることもあります。条件として契約が示される可能性があることを、早い段階で想定しておくと安心です。 こうした条件への対応には、提示を受けてからも一定の時間を要します。契約であれば社内での検討が必要になりますし、指定の版への差し替えや、指示に沿った修正作業が発生することもあります。どのような条件が示されるかは、実際に権利者へ確認するまでわからない部分もあるため、回答を待つ期間だけでなく、条件に対応するための期間も考慮しておく必要があります。

まとめ


当社では、スケール・質問票の利用許諾申請の代行も承っております。お気軽にお問い合わせください。

 

掲載内容はあくまで当社の見解です。個々の事案についての判断の参考にお留めください。内容についても、執筆当時の状況におけるものであることをご了解ください。万一、ブログの内容の利用により何らかの損害が発生しても、当社は一切の責任を負いません。

医薬・医療の著作権に関するご相談は
ナレッジワイヤへ

ナレッジワイヤは、医薬・理工系の学術分野に特化した著作権コンサルティング会社です。転載許諾代行サービスなどのご相談はお気軽にご相談ください。

転載許諾代行サービスについて お問い合わせはこちら

関連記事

ガイドラインの改訂版が発行されました。旧版で許諾を取得した図表は、改めて許諾が必要ですか?

診療ガイドラインや医学書は、数年ごとに改訂されることがあります。「旧版で許諾を取得済みで、新版にも同...

過去に取得した許諾は、どのように記録・管理しておくとよいですか?

転載許諾には、利用範囲や有効期限など、さまざまな条件が設定されています。後から増刷や継続利用を検討す...

許諾申請のために「元の論文を確認してください」と言われるのはなぜですか?

許諾申請の代行を依頼すると、「元の論文(出典)を確認してください」「元文献を用意してください」と言わ...