HOME>政府刊行物は許諾なしで利用できますか?
 

出来るものもあれば、出来ないものもあります。確認が必要です。

 

政府刊行物については、「許諾は不要」と考える方がいらっしゃいますが、少なくとも我が国の政府刊行物には著作権があるものが殆どであり、無断で利用することはできないのが原則です。

ただし、近年「オープンデータ」政策の推進により、政府機関の情報利用について、許諾なしに自由に使えるようにしていこうという流れがあります。

2016年1月からは、Creative CommonsのCC-BYに準拠した「政府標準利用規約(第2版)」が政府機関の発信する情報には適用されます。

とはいえ、あくまで著作物だけれど、利用は自由にやってもらってよい、ということであって、著作権そのものを放棄しているわけではありません。

そのため、使い方には一定のルールがあります。

また、実務的には政府機関以外が著作権を持っているものが混在していることが多いため、確認なしには使いにくいように思います。

 

著作権法上では権利の対象とならない著作物として「憲法その他の法令」「告示・訓令・通達等」「判決等」およびそれらの「翻訳物・編集物」が上げられています。また外国の法令、未批准の条約、政府作成の法律案等も含まれると解釈すべきである、とされています。その一方で学術的な報告書、国土地理院の地図などは著作権の対象となるとされています。医薬プロモーションの世界では、白書や人口動態統計、国民健康・栄養調査といった統計、研究班の報告書などが良く出てきますが、次のような条件をみたせば、許諾なしで利用可能です。

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著作権法32条の第2項

国若しくは地方公共団体の機関、独立行政法人又は地方独立行政法人が一般に周知させることを目的として作成し、その著作の名義の下に公表する広報資料、調査統計資料、報告書その他これらに類する著作物は、説明の材料として新聞紙、雑誌その他の刊行物に転載することができる。ただし、これを禁止する旨の表示がある場合は、この限りでない。

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条文からあてはまる要件を抜き出すと、以下のようになります。

 

(1)国、もしくは地方公共団体の機関、独立行政法人または地方独立行政法人が作成したもの。

(2)一般に周知させることを目的として作成されたもの。

(3)説明の材料として使う場合。

(4)禁転載との記載がないこと。

 

これを満たす場合は許諾なしに自由に使えるということになります。

 

(1)については、上記の機関の名義のもとに公表する広報資料、調査統計資料、報告書その他これらに類する著作物で、発行ではなく、作成とされているので、執筆、編集が上記であれば印刷発行の主体が民間でも対象になると言われています。(参考:半田・松田編, 著作権法コンメンタール:2巻p.208)

 

(2)については、政府が発行している白書の類、文部科学白書とか経済財政白書等、ただし、学術論文と同性格のものは含まれないとされています。(参考:加戸, 著作権法逐条講義:p.245)

 

(3)については、それを丸ごと複製したものを販売するようなことは認められませんが、説明文がすくなく、転載のほうが分量が多くても問題とはならず、また、翻訳も全文の資料の転載も認められているとされています(参考:半田・松田編, 著作権法コンメンタール:2巻p.209)

 

(4)については、統計資料などには「禁転載」の記述はないようです。その一方でこれらの統計資料から作成された「国民衛生の動向」などには「禁転載」の表示があります。

 

ただし、著作権法上は、あくまでも「転載」とあるので、公衆送信(WEB掲載)するときなどは許諾が必要になります。

 

ちなみに、海外ではどうか、これも国によって様々ということになりますが、米国の場合は米国著作権法105条によって、政府職員が職務上作成した著作物は著作権が成立しないとされています。NIHやFDA,CDCなどの出版物はそのため自由に使えるケースが多いと思います。ただし政府職員とそうでない人の共著の場合は、その著作物は必ずしも自由に使えるというわけではありません。まずは、出版物の著作権に関する記載を確認することから出発する、ということが原則になります。

 

 

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